ツリーに戻る

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

kemio

KADOKAWA/2019年

  • 読み手:  辻 鮎里

     正反対の人間とは仲良くなれる気がしない。誰でもそうだろう。私は彼に出会った事はないが、彼の言葉の節々から正反対の人間である事がにじみ出ていて、地球が爆発しない限り同じ棺桶には行き着かないだろう。私はどちらかと言うと陰キャで、彼はおそらく陽キャだ。ちなみに、陽キャだ陰キャだ騒ぐのは大体陰キャで、陽キャは自分がどちらかわかっていない。さておき。自分が面白いと思った行動や価値観を全世界にシェアハピしようなんて私には到底できない事だ。私はkemioのユーチューバーとしての顔しか知らない。愉快な日本語をよく話す人。言葉の最初が小林製薬になる私とは大違いだ。「口から文化祭」とは良く言ったものだ。文化祭はザ・青い春の象徴というイベントなのに、彼のパリピ具合は嫌いじゃない。彼は日々、はっちゃけて生きている、ように見える。この書籍以外にも、彼の動画の中で、彼の性格の陽と静の同居が見られる。口から文化祭が生まれているのに対し、その言葉の一つ一つは決して軽くない。彼の口調は軽めだが、彼の言葉は勉強になる。何せ、語彙力の引き出しがたくさんあるからだ。本書の中でも「この会話の中でこの話が出てくるか?」「一体何を食べていたらそんな言い回しができるんだ」と感じられる部分が多々ある。エッセイは語り口調のものが多いと思うが、本書の場合は雑誌のインタビュー記事を読んでいる感覚に近い。彼特有の喋り言葉で永遠語られている本書は、経験や教養からだけでは身につけられ無い、面白い語彙がたくさん出てくる。おそらくホームステイをしている外国人が彼の言葉を聞いて覚えたなら、その人は祖国でギャルになるだろう。彼が生まれながらにして持つ、言葉の流れは他の誰にも取って代わられない。世の中にたくさん溢れる楽しさを彼が見つけた瞬間、世界はもっと面白くなる。

ツリーに戻る
名芸ブックツリー 名芸ブックツリー