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くものすおやぶんとりものちょう

秋山あゆ子

福音館書店/2005年

  • 読み手:  山本梨惠

    私がこの本を選んだのは、候補の中で唯一、手に入れることができた絵本だからです。私にとって絵本は身近なものです。時間に追われて、長期間活字を読まない時期があると、リハビリとして絵本を手に取ります。特にこの本は一文が短く、物語も簡潔で、何度読んでも飽きません。実は、この本を一度手放したことがあります。とても気に入っていましたが、なかなか読む機会が持てず、迷った末、保育園に寄贈したのです。読まれないでコレクションにされるよりも、誰かに読まれ続ける方が本も幸せだろうと思いました。そこに今回の企画で、自分の種となる本を購入することになり、買いなおしたというわけです。
    この本では、主人公であるおにぐものあみぞう・通称くものすおやぶんだけではなく、一の子分であるはえとりぐものぴょんきちが活躍します。今回はこのぴょんきちと、彼のモデルとなっているハエトリグモについて紹介します。
    はじめに、この本はくものすおやぶんシリーズの二作目になります。シリーズとは言っても、一作ごとに話は完結しているので、どちらから読んでも楽しめます。今回は扱いませんが、一作目も十分面白いので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
    さて、この本の内容について触れていきましょう。
    今回のぴょんきちは、なんと、仏像に変装します。仏像に変装したぴょんきちの挿絵はとても細かく描かれていて、本物の仏像と見間違えるほどの出来栄えでした。完璧な変装をしたぴょんきちは、あることを突き止めるために、一度怪しい集団に、わざとさらわれます。怪しい集団はぴょんきちが変装していることに少しも気付きません。しかし、あることがきっかけで、仏像ではないとバレてしまいます。その理由と結末は、直接本を手に取って、自分の目で確かめてください。
    では、今度はハエトリグモについて説明します。
    最初に断っておきますが、ハエトリグモは益虫です。いい虫です。ハエトリグモにもたくさんの種類がいて、そのほとんどがハエやカメムシ、ゴキブリを食べます。人間に害を及ぼすような毒を持つものはいません。クモのイメージにありがちな狩り用のクモの巣も作りません。体は小さく、一センチ前後のものがほとんどです。
    そんな彼らを「キャー、クモだ。気持ち悪い!」と撃退してしまうのは、なんだか寂しいのです。虫が苦手なひと、虫に興味のないひとにも、彼らのいいところを知ってほしいのです。
    先の説明を読んで、そしてこの本を読んで、「こんなかわいいやつなんだ」と思って、彼らをそっとしておいてもらえたらいいなと思います。

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